小さな町村顧みぬこの国

2003年11月23日の朝日新聞朝刊に素晴らしく共感するコラムが載っていた。

コラムを書かれたのは倉敷市大原美術館理事長の大原謙一郎さん。
抜粋しても長文になるが、ぜひ紹介したい。


..もとよりこのように世界とつながる力のある街は倉敷だけではない。...日本の地方はいろんな意味で大切な町や村の宝庫である。

この国が、自国の独立と安全を、軍事力よりむしろ文化的共感と世界平和への貢献とによって支えることを国是とする国である以上、このような出会いは、たんなる気分の問題を超えた切実な意味を持っているからである。

...日本各地の町や村を舞台に世界との文化的共感を積み上げることは日本の将来のために貴重なことである

...しかし、今の為政者の視線は首都周辺にしか向けられておらず、これらの町や村のことが彼らの意識に浮かぶことはほとんどないようだ。

...富と人材の関東圏への移動が着実に進行し、地方の民が危惧していた「日本の疲弊と首都の繁栄」という図式が現実化しつつある。その中で、日本にとって大切な町や村の多くが財政危機の瀬戸際にあえぎ、全国に散らばる美しい町村では市民の生活が破綻の危機に瀕している。このままでは、この国の姿はゆがんでしまう。
倉敷からはこう見える―世界と文化と地方について
素晴らしい。さすが倉敷を空襲から救った大原家の方である。

著書を探してみたが、在庫切れだった。残念。

東京は日本そのものではなく、その一部である。首都である東京がリーダーシップを執るのは結構なことであるが、自らの利益のみを追求し、地方をないがしろにしては日本は立ち行かなくなるであろう。地方が破綻した時、日本は多様性を失うことになる。一度失った多様性を再度作り上げるためには、膨大な手間と時間がかかる。それは取り返しのつかない損失である。