土地開発公社の諸問題


土地開発公社―塩漬け用地と自治体の不良資産
かつて土地の値段が短期間で大幅に値上がりした時期があった。

そのため、道路の敷設や公共施設の建設にあたって、必要な土地が適切な時期に取得できないことが問題となった。

土地開発公社は、その問題を解消し、自治体が機動的に土地を取得するために設立された外郭団体である。(公有地の拡大の推進に関する法律

だが、多くの開発公社は実体がなく、自治体の長や幹部がトップとなり、自治体職員が業務を担当しているケースが多い。


土地開発公社自体には資産がないため、土地の購入資金は金融機関の融資によって調達される。融資にあたっては、自治体による債務保証がおこなわれるため、実際は自治体による借金である。

この債務保証についてのみ、議会議決が必要とされるが、土地の取得自体をチェックする機関はない。

こうした手続き上の疑念は残るが、購入した土地が有効利用されていれば、土地開発公社の目的に一応は合致している。

しかし、問題は「緊急に取得する必要がある」はずの土地がいつまで経っても利用されず、利子だけが膨らんでいることである。

膨らんだ利子は、塩漬けになった土地を開発公社から地方自治体に売却する際に、無条件に上乗せされる。

上乗せされた、本来の土地取引額との差額は税金によって負担されるのである。


また、現在のように地価が上昇せず、むしろ下がっている状況では、土地を無理して先行取得する意義は薄れている。

それにも拘わらず、現在でも土地開発公社による土地取得はおこなわれている。

議会を経ることなく土地の購入ができるため、行政当局によって恣意的に運用されているのである。

しかも土地の買収に当たっては、周辺の地価とはかけ離れた金額が職業倫理に欠ける不動産鑑定士によって提示されることがあり、行政トップが恣意的に土地を自治体へ買わせるための手段となってしまったケースがある。


こうした納税者が「預けている」税金の無駄遣いを調べ上げて告発しているのは、無報酬で活動しているオンブズマンなどの市民団体である。

行政当局や議会には責任能力や自浄能力が欠けていると見放しているので、しょうがなくやっているのだ。

こうしたチェックは、本来、報酬をもらっている議会議員や監査委員がやらなければいけない仕事なのに。

よく恥ずかしさのあまり、辞任しないものである。


さらに、土地開発公社は行政団体でないため、情報公開の対象外となっているケースも多い。

自治体が開発公社から購入した土地についての資料も非公開にしている理由として、「プライバシー保護」を挙げている。

しかし公開すべきなのは「税金の使途」であり、プライバシーを楯として公開しないことは、行政責任を放棄していると非難されるべきである。