企業変革力、企業変革ノート

企業変革力

企業変革力

仕事絡みのミーティングのネタにしようとして読了。
企業が大規模な変革を進めるにあたって推奨する8ステップについての提示と解説が記述されている。
曰く、
1.危機意識を高める
2.変革推進のための連帯チームを築く
3.ビジョンと戦略を生みだす
4.変革のためのビジョンを周知徹底する
5.従業員の自発を促す
6.短期的成果を実現する
7.成果を活かして、さらなる変革を推進する
8.新しい方法を企業文化に定着させる
併せてリーダーシップの必要性とマネジメントの重要性について述べられてる。
帯に『アマゾンUSAビジネス部門でベストセラーを続けるリーダーシップ論の決定版的名著』とあるように、論旨は明確で分かりやすかった。
しかしターゲットとする層について想像しづらい。
大企業のプロジェクトやタスクフォースのリーダーか?中小中堅企業の経営者か?大企業の経営層か?
例として挙げられているミーティングや報償、式典の規模を見ると大企業がターゲットのようだが、大企業が提示されたような変革を進めるのは相当難しいのではと思う。あくまで例は参考として、変革のステップを検討するためのガイドライン・理論的支柱として使用した方が良さそうだ。

ジョン・コッターの企業変革ノート

ジョン・コッターの企業変革ノート

上記の続編。『(前書では)組織が新しいやり方に移行する際の8つの段階を概説したが、本書では、格段閣で直面する本質的な問題を掘り下げ、どのように対応するべきかを明らかにしている。』
各段落が、1.導入、2.実例、3.解説と構成され、章の終わりにはサマリーがまとめられているので、より分かりやすく実践的な内容となっている。
テクニックに終始するのではなく、本質として重要なことが記載されている。
『問題の核心は、人々の行動を変えることにある。そして行動を変える上で何より効果的なのは、人々の心に訴えることである。』
感情に訴えるにあたっては『見て、感じて、変化する』ことが重要である。その最初のステップのためにおこなった実例として紹介されている例が興味深かった。無駄な購買プロセスを指摘する際、各工場の各部門でバラバラに購入していた424種類の手袋を集めて、役員室のテーブルに積み上げたとのこと。もちろんオーバーな例ではあるが、理性や悟性ではなく感性が重要であるということである。

2冊とも分かりやすく興味深く読了した。

ステップ5で「従業員をエンパワーメントする(権限委譲して自主的に仕事に取り組む)」ことが取り上げられているが、それと管理レベルを向上させるためのWBSの導入とは相容れないことになる。WBSを導入することでマイクロマネジメントにつながるのではないかと危惧している。
野放し状態よりはマシなんだが。