ライオンと魔女

ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)
週末から映画が公開される「ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)」を読んでみました。

児童文学の系統で言うと、アンデルセン系とイソップ系が混ざったような物語です。


読む際に、登場人物の誰かに感情移入する小説があります。

主人公に感情移入できれば、その本は気に入ったものになるでしょう。

でも、同じ本でも年数が経ってから再読すると、感情移入する対象が変わってきて、自分でも戸惑うことがあります。


ヘミングウェイの「老人と海」がそうでした。

最初に読んだ中学生の時は、少年の視点から老人を見ていたのですが、最近再読したら、少年でもなく老人でもなく、第三者の視点で読んでいました。

もっと経ってから読むと、老人の視点になってしまうのでしょう。


今回の「ライオンと魔女」は、大人になったから初めて読んだため、子供たちを庇護して魔女と戦う、森の王さまであるライオン「アスラン」の視点から読んでしまいました。

強く厳しく優しいアスランは大人として、親としての理想像だと思います。

成熟した大人としては、斯く在りたいものです。


一歩進めて、アスランを成熟した大人のアーキタイプ元型)として捉えると、ナルニア国物語の解釈を再考する必要があります。

ユングから読み解くナルニア国物語」なんてテーマで書くと面白そうです。

色んな意味でムリですが。


他の書評にあるようにキリスト教の知識が前提となっているため、非キリスト教徒である僕には、気付かないメタファーがいっぱいあったと思うのですが、楽しく読めました。