社会的責任投資としての地元企業投資


戦略的デューデリジェンスの実務―M&Aによる成長を実現する
某所でTOBに対する企業防衛についての説明会。マスコミの取材が多くてビックリ。

酷暑の中、クールビズを棚上にしてスーツで行って良かった。


配布された資料はWEBページで公開しているものでした。

http://www.hokuetsu-paper.co.jp/pdf/OSIRASE/060809_press_release01.pdf

顧客や取引先、地域や従業員といった利害関係者に対しての説明は論理的ですが、投資家への説明が足りないように思います。

TOBをかける側としては、現在の株主に対して売ることのメリットと売らないことのデメリットを提示します。

それに対してTOBをかけられた側は、株を持ち続けてもらうことへのメリットを十分に提示する必要があります。


株式を上場することで資金調達が有利になりますが、優位性を高めるために高い株価を維持することが、企業経営の重要課題となります。株主から経営に厳しいチェックが入ることも甘受しなければイケマセンし、株式市場の公平性を保持するために情報開示の迅速性・正確性が求められ、投資家向け情報(IR)の公開にも力を入れる必要があります。

また、買収されてしまい、企業が大きくリストラされてしまう危険性も孕んでいます。

それがイヤなら上場しなければイイのです。


資本の論理からすれば、強引なTOBであっても経済合理性があれば、市場からは評価を受けます。

しかし、「新工場への投資を止めたらTOBしない」とか「増資をしなければTOBを取りやめる」といった「条件付きTOB」からは、利潤追求という企業のエゴしかありません。

儲かりさえすれば何をしても良いというのは収奪も度が過ぎます。虎狼のようです。


さて、投資に当たっては、リスクやリターンといった観点からではなく、社会的責任投資という観点もあります。


社会的責任投資の定義

社会的責任投資(Socially Responsible Investment= SRI)についての確定された国際的な定義はないが、一般的には、「企業への株式投資の際に、財務的分析に加えて、企業の環境対応や社会的活動などの評価、つまり企業の社会的責任の評価を加味して投資先企業を決定する投資手法」と理解されています。



社会的責任投資(SRI)とは

・社会的責任投資とは、従来の財務分析による投資基準に加え、 社会・倫理・環境といった点などにおいて社会的責任を果たしているかどうかを投資基準にし、投資行動をとることを言います。

・古くからある例として、タバコ、ギャンブル、武器に関連する企業への投資をしないとことなどがあげられます。

・今ではさらに環境に優しい企業か、法律遵守しているかなどが基準に加えられることが多いようです。


投資家が自分の財産をどう使おうと自由ですので、地元に貢献する企業への投資を通して、居住する地域の価値を向上させるということも合理性があります。そういった観点からポートフォリオを構成し、「地元限定ファンド」を組んでみるのも興味深いです。

災害の時に、地元に有力な食品スーパーがあったり、重機を保有している企業があるのは心強いです。

投資に当たって、投資効率としての経済合理性しか見ないのは、一面的に過ぎると思います。


今回の場合、TOBの対象となっている株を売る会社は地元では皆無でしょうね。