夕凪の街 桜の国
出張で東京へ。取引先の担当者が親戚と会食とのことなので、早上がりして映画へ行ってきました。
観てきたのは「夕凪の街 桜の国(注:BGMあり)」。
以前、原作のコミックスを読んで、悲しい話に感情移入するあまり、号泣してしまいました。
どのぐらい泣いたかというと、上映を告知するポスターを見て思い出して涙が出てくるほど。
映画は原作を忠実になぞっていました。原作が素晴らしかっただけに改編されなかったのは良かったです。
原作にないエピソードもあり、余計かなと思っていましたが、成長した「木」が効果的に使われていて、脚本の演出に気づいたときはまた泣いてしまいました。
どうも涙もろくてイケマセン。
本編は「夕凪の街」と「桜の国」の2つの話に分かれています。
「桜の国」は現在に近い話で、被爆者の家庭を描いており、良いマンガなのですが、やはり「夕凪の街」が秀逸です。
イデオロギーが先行している原爆反対の言葉は一切なく、淡々と被爆者のつらい感情や切ない気持ちを描き出しています。
昭和30年の広島が舞台です。主人公の皆実(みなみ)は、23歳の娘で、母親と二人で原爆スラムに暮らしています。
13歳で原爆の惨禍に遭って、父親と姉と妹を亡くしています。
普段は明るく逞しく生きているのですが、被爆時にあまりに多くの死に遭ったため、ショックで深いトラウマを負っています。
会社の同僚から想いを寄せられ、付き合いだそうとするのですが、折り悪く被爆の後遺症が発症してしまいます。
薄れていく意識の中でのモノローグが泣かせます。
嬉しい?
10年経ったけど、原爆を落とした人はわたしを見て、「やった!またひとり殺せた」とちゃんと思うてくれとる?
映画での皆実役はの麻生久美子さんでした。
飄々と毎日を過ごしているように見えて、深い悲しみを背負っている演技で感動しました。
優しい広島弁がまた良かったです。